Bが登記済証や登記識別情報を提供できない場合は、どのように登記申請するのでしょうか?
従前は、「保証書」制度というものがありましたが、現在は①「事前通知」制度あるいは②司法書士などの資格者代理人による「本人確認情報」によって申請するのが一般的です。
①「事前通知」は、登記済証や登記識別情報を提供せずに申請すると、法務局からB宛に登記申請の内容についての確認通知がきます。
通知はB本人が受領してもらわなければ意味がありませんから、法務局からは「本人限定受取郵便」という特殊な郵便方法で行われます。
そして、Bからの登記申請したことに間違いない旨の申出を待って、登記が実行されることになります。
「事前通知」には、登記完了までに時間を要することや、万が一Bが法務局からの問合せに対し、間違いない旨の申出をしなければ、登記申請が却下されてしまうリスクがありますから、次の「本人確認情報」が利用されることの方が多いです。
②「本人確認情報」とは、登記申請の代理人となることができる我々司法書士が、売主と直接面談し、売主本人に間違いないとの確証を得た上で、「本人確認情報」なる情報を作成し、それを法務局に提供することによって、登記が実行されるものです。
登記識別情報がなくてもすぐに登記がなされるので、虚偽登記の可能性が高くなるわけですが、登記申請のプロフェッショナルであり、法律職である司法書士を信頼して、認められた制度といえます。
当然、我々司法書士に求められる責任も重くなります。
もし、面談など十分に行わず、本人であるとの確証を得ずに、「本人確認情報」を提供すると、場合によっては2年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることになります。
登記識別情報や登記済証がなくても登記申請はできますが、余分な手間と費用を要してしまいますから、発行された登記識別情報は大切に保管されるようにお願いします。