今般、「売買」や「相続」を原因とする所有権移転登記ではなく、ちょっと珍しい「真正な登記名義の回復」を原因とする移転登記申請(略して、「真名回復登記」と言います。)を行いました。
ご存知ない方が多いでしょうが、この「真名回復登記」は間違えてなされた登記名義を真実の権利者の名義に修正するために行われる登記です。
例えば、Aが所有する不動産なのに何らかの理由でXの名前が所有者として登記されていたとします。本来であれば誤ってなされたX名義の登記を抹消して、改めてA名義の登記をするのが本来の姿なのですが、登記手続き上それが困難な事由がある場合に、便宜上XからAに移転登記をすることでA名義を実現できます。
これが「真名回復登記」です。
司法書士や登記官が契約の有効性や登記申請の不備をチェックしますから、そもそも権利関係について実態と異なる登記がなされることは少ないといえますが、稀にこのような事態が生じることがあります。
今回の依頼内容は、依頼者である姉が約50年前に家を建てたのですが、女性が借り入れも無く建物所有者として登記されていると、他の人から資産を保有していると思われて、諸々のトラブルに巻き込まれるかもしれないと憂慮し、弟に頼んで登記名義人となってもらったというものです。以後、姉がその家に住んでおり、固定資産税も納付していたのですが、この度この家を売却することになり、早急に自分の登記名義にしたいというものでした。
当然、弟さんも承諾して円満に登記申請が行えました。