法定相続情報証明制度の現時点の問題点をいくつか挙げます。
①戸籍謄本などの期限
通常、金融機関では発行後3カ月以内の戸籍謄本等を求めますが、法定相続情報証明制度では提出する戸籍謄本等に有効期限が設けられていません。
その結果、現在の身分関係と一致していない法定相続情報一覧図が作成されるリスクが高くなります。
②金融機関や裁判所ではまだ利用できない
制度は創設されましたが、金融機関、証券会社、保険会社、役所で、まだ法定相続情報一覧図の利用は認められていません。
同じ法務省管轄の裁判所でさえ、認めれていないのです。
家庭裁判所では実績を踏まえて採用を前向きに検討しているようですが、法定相続情報一覧図の信用度、利用度によってこれから浸透していく制度のようです。
③一覧図の差し替えができない
事務的な話ですが、一度提出した法定相続情報一覧図に過誤があった場合、差し替えが認められておらず、訂正しかできないということです。
訂正がなされた法定相続情報一覧図では、見栄えが悪いので、差し替えは認めてもいいと思うのですが・・・。
④信用度
専門職の立場からいえば、他の人が既に作成した法定相続情報一覧図を使用して自己の専門業務を行ったが、その法定相続情報一覧図自体に過誤・遺漏があった場合に責任をとる必要があるのかという問題も懸念されます。
⑤司法書士業務との関係
司法書士だけの問題ですが、純然たる法定相続情報一覧図だけの作成を業務として受任することができるのか?という問題があります。
司法書士が行うことができる業務範囲に含まれるか疑義があるところです。
以上、懸念される問題点を挙げましたが、結論的には一度運用して、様々な課題を克服していく必要がありそうです。
当職は行政書士登録もしており、⑤の問題点はありませんから、積極的に利用してみようと思います。