先週、6月3日次のようなニュースが出ていました。
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戦国武将らに使われてきた手書きのサイン「花押(かおう)」が遺言書に必要な「印」にあたるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は3日、「花押は押印とは認められない」とし、遺言書を無効と判断した。
その上で、花押を「印」と認めた2審判決を破棄し、審理を福岡高裁に差し戻す判決を言い渡した。
判決によると、遺言書は、琉球王国の名家の末裔(まつえい)にあたる沖縄県内の男性の名義。
男性は2003年に85歳で死亡し、遺言書には、息子3人のうち、次男に山林などの不動産を全て譲るとする内容が書かれていた。
1審・那覇地裁と2審・同高裁那覇支部はいずれも、花押を印と認め、遺言書を有効と判断していた。
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自筆証書遺言については民法第968条第1項で次のように規定されています。
『自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。』
今回は、この『印を押す』の要件を満たしているのかが争われた事件でした。
遺言は厳格な要件が求められる要式行為です。
ご自身の最期の意思を表すために、また相続人の紛争予防のために遺言書を残したのに、その効力が認められなかったり、遺言書が原因で新たな争いの種が生じてしまうのであれば、目も当てられません。
過去にも自筆証書遺言の要件に関して争われた最高裁判例がいくつかありますので、次回紹介します。
今後の参考にしてもらいたいと思います。