7月17日、最高裁から下記の判断がなされました。
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受信料を21年滞納していた大阪市の男性相手に、NHKが支払いを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷は、男性に5年分の受信料などの支払いを命じた大阪高裁判決を支持し、男性側の上告を棄却した。
裁判の争点は、受信料が「定期金債権」の時効20年の適用対象になるか否かで、男性側は対象になるとして、受信料を支払う必要は一切ないと主張していた。
男性は1995年7月以降、受信料を滞納。一方、NHKも徴収を忘れていたようで、2016年になって、21年分の受信料を請求したが、男性が拒否したことから、裁判になっていた。
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民法第168条第1項本文には「定期金の債権は、第1回の弁済期から20年間行使しないときは、消滅する。」と規定されています。
「定期金債権」とは、年金のように一定期間毎にお金の支払いを受けることができる権利のことです。
本件でいえば、毎月受信料を支払ってもらう権利(基本権=定期金債権)があるから、ある月に一定額の支払いを受ける権利(支分権)が発生していることになります。
毎月発生する受信料(支分権)については、2014年の最高裁判決で時効期間は5年と確定していましたが、基本権の時効については判断されていなかったのです。
基本権を定期金債権として20年の消滅時効を認めてしまうと、テレビが設置されているのに、以後受信料を一切払わなくても良いという不公平な結果になるので、当然の判断でしょう。
話は変わりますが、先日、別居している夫婦間の婚姻費用の支払い義務について夫側から相談がありました。
20年以上前に調停手続きで「毎月の婚姻費用を夫が妻に支払う」ことで合意していたが、不履行のまま現在まで至っている。
この婚姻費用が定期金債権に該当するから、時効主張すれば、一切支払う必要がなくなるのではないか?というものでした。
該当するとも考えられますが、当然妻側は認めない旨を主張してくるでしょうから、最終的には裁判所の判断に委ねられることになるでしょう。
明確な返答ができない案件でした・・・