近年、「終活」という言葉をよく見かけます。
人生の終焉をより良い形で迎えるために生前から準備するということですが、生きているうちに「死」というものを冷静に見つめることで、生きることの価値を改めて考え、余生を前向きに生きたいと思う人や残された家族にできるだけ負担をかけたくないと考える人が増えてきていることが背景にあると思います。
団塊の世代の方々が定年退職されて、今後、より一層注目されてくることでしょう。
「終活」でメジャーな行為のひとつにエンディングノートの作成があります。
遺族へのメッセージや末期医療方法の選択、葬儀の方法、墓石の選択などをノートに記載しておくもので、書店やインターネットでは多くの種類のエンディングノートが並んでいます。
エンディングノートに相続財産の分配や相続分の指定を書かれる方もいます。
手軽に作成できるもので便利ではあるのですが、ここでちょっと注意しなければならないのは、「エンディングノート」=「遺言書」ではないということです。
先日、相談に来られたご婦人もエンディングノートを作成しているから、遺言書の作成はいらないと思い込んでおられました。
残念ながら、一般的なエンディングノートでは、法的要件を満たさず、有効な遺言書としては認められない可能性が高いのが実状です。
エンディングノートを作成しておけば安心というわけにはいかないのです。
せっかく作成したのに、効力が生じないということでは困りますよね?
少し手間隙はかかるかもしれませんが、やはり法律家に相談して、そのエンディングノートが遺言書としても効力が生じるのか否か確認してもらう、あるいは正式に遺言書作成のご相談をされることをお薦めします。