時効援用通知書の書き方ポイント、内容証明郵便の書式を解説

借金を長期間返済していない場合、時効が完成して借金が消滅することがあります。

借金を消滅させるためには、「時効援用通知書」を送る必要があります。

時効援用通知書は、時効の制度を利用する意思を相手に伝えるための書面です。

逆に、時効期間が経過していても、時効の制度を利用する意思を相手に伝えなければ、借金はなくならないので注意が必要です。

では、時効援用通知書は、どのように書けば良いのでしょうか?内容証明郵便で送る際の書式についても知っておく必要があります。

今回は、時効援用通知書の書き方をご説明します

時効援用通知書の文例

早速、時効援用通知書の文例をご紹介します。

基本的に、この内容をテンプレートとして利用すれば、有効な時効援用通知ができます。

時効援用通知書

平成29年〇月〇日

東京都〇〇区〇〇 〇〇ビル〇〇〇号室
〇〇消費者金融株式会社 代表者代表取締役 〇〇〇〇殿

神奈川県〇〇市〇〇  〇〇〇〇 印
電話番号〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
FAX番号〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

前略 貴社は私に対し、以下に記載する内容の貸金の返還請求をしておられますが、私が貴社より借り受けた当該債務については、最終弁済日の翌日(平成〇〇年〇月〇日)からすでに5年以上が経過しており、時効が完成しております。

契約番号:〇〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
借入人氏名:〇〇〇〇(ふりがな)
生年月日:昭和〇〇年〇月〇日
住所:神奈川県〇〇市〇〇
当初借入額:〇〇万円

つきましては、私は貴社に対し、本通知書をもって上記貸金債権について、消滅時効を援用しますので、その旨ご通知いたします。

貴社におかれましては、本書面を受領後速やかに信用情報機関宛てに適切な通知をして、登録された事故情報を抹消されますよう、併せてお願い申し上げます。

時効援用通知書の書き方のポイント

時効援用通知書を作成したい場合、基本的には上記の通りの文例で良いのですが、自分でアレンジしないといけない部分があります。また、記載が必須な事項と、任意の事項(書いても書かなくても良い事項)があります。

そこで、以下に、自分で時効援用通知書を書く際のポイントをご紹介します。

記載が必須の事項

時効援用通知書では、必ず記載が必要な事項があります。

自分で作成する場合にも必ず書き入れなければなりません。

それは、以下の4点です。

  1. 債権の内容特定
  2. 時効が完成していること
  3. 時効を援用すること
  4. 差出人(援用者)とその連絡先などの情報、日付

順番に見てみましょう。

1. 債権の内容特定

まず、時効援用通知書は、借金の時効を援用するための通知書ですから、対象となる借金が特定されていなければいけません。

いくら時効を援用しても、どの借金の時効を援用しているのかがわからなければ、その援用通知書にはまったく意味がありません。

借金を特定するためには、通常以下のような情報から特定します。

  • 借入日
  • 借入金額
  • 契約番号(会員番号
  • 借入人氏名(ふりがなつき)
  • 借入人住所
  • 生年月日

上記の内容がすべて書けていれば、十分に特定可能です。

借入日や借入金額がわからないということもありますが、上記のうち、契約番号や会員番号が分かれば、当初借入日や借入金額などのその他の情報がなくても債権を特定できるのが普通です。

契約番号がわからない場合には、債務者の氏名と住所(債権者に登録されている住所)、氏名のふりがなと生年月日などの記載があれば債権の特定ができます。この場合も、借入日や借入金額までは書かなくても特定できるのが普通です。

なお、住所については、債権者に登録されている住所の記載が必要なので、借り入れ後に引っ越しをして債権者に新しい住所を連絡していない場合には、旧住所(債権者に登録されている住所)を記載する必要があります。

2. 時効が完成していること

時効援用通知を送るときには、必ず「時効が完成している」ことを書く必要があります。時効が完成しているということは、具体的には、最終返済日の翌日から必要な期間が経過しているということです。

最終返済日が明らかにわかっている場合は、「最終返済日である平成〇年〇月〇日の翌日からすでに〇〇年が経過しており」と具体的に記載すると良いです。

最終返済日がわからない場合は、単に「最終返済日の翌日からすでに〇〇年が経過しており」と記載する方法でもかまいません。

また、時効期間を記載することも必要です。

借金は、種類によって時効期間が異なります。消費者金融やクレジットカード、銀行などからの借入ならば時効期間は5年ですが、信用金庫や公庫、個人などからの借金のケースでは、時効期間は10年です。

そこで、ケースに応じて、5年なのか10年なのかを正確に記載しなければなりません。

上記の文例では、消費者金融への通知書であるという前提なので「5年が経過し」と記載していますが、これが公庫などからの借金であれば「10年が経過し」と記載する必要があります。

3. 時効を援用すること

時効援用通知書には、必ず「時効を援用すること」を明確に記載しなければいけません。

これを書かないと、時効援用通知書にならないので、どんなに債権の特定や最終返済日からの時効期間を計算しても、まったく意味がありません。

ただ、その書き方はとても簡単で、単に「本書をもって時効を援用いたします」などと書けばそれだけでクリアできます。

簡単ですが、最重要のポイントなので、必ず押さえておきましょう。

4. 差出人(援用者)とその連絡先などの情報、および日付

時効援用通知書を送る場合、差出人に関する情報も必須です。

時効援用をできる人は、基本的に時効によって直接利益を得る当事者だけなので、誰が援用したのかということが重要になるからです。

そこで、時効援用通知書には、必ず自分の氏名と住所などを書いて、差出人を明らかにしましょう。

また、援用通知を受け取った相手方が何か確認などをしたいときに、差出人(援用者)に連絡したいことも考えられるので、差出人(援用者)の電話番号やFAX番号、携帯電話番号などの連絡先を記載しておきましょう。

さらに、日付を書き入れることも忘れてはいけません。

時効援用は、いつ行ったかということが後日争われることもあるので、必ず通知書を送った日付を記入しておく必要があります。

内容証明郵便を利用した場合には、郵便局において確定日付を入れてもらえますが、自分でも文書作成日付を書き入れておくことが大切です。

記載しておくことが望ましいこと

次に、時効援用通知に記載しておくことが望ましい内容を確認します。

ここには、信用情報機関からの登録情報削除依頼を書いておくと良いです。

時効を援用して借金が消滅した場合、信用情報機関によっては、事故情報の登録を抹消してくれる扱いをしています。

また、すぐに抹消してくれない機関でも、時効を援用すると完済扱いになって支払遅延状態が解消されるので、どちらにしても時効援用をしたことを信用情報機関に通知する必要があります。

加盟している信用情報機関に対し、契約者の返済などに関する情報を通知するのは加盟者である貸金業者や銀行です。

そこで、時効を援用したら、相手の消費者金融やクレジットカード会社などから、信用情報機関に対し、時効の援用が行われたことを通知してもらう必要があります。

時効援用通知書には、「本書面を受け取った後、速やかに信用情報機関に対し、登録情報の削除依頼をお出しください」と書いておきましょう。

この記載がなくても時効援用自体は有効にできるので、必ず記載しなければならないというものではありません。別途依頼書を出して通知してもかまわないものです。もし信用情報のことについて気にならないのであれば、放っておいてもかまいません。

ただし、情報が抹消されないと、ローンやクレジットが利用できない不利益を受ける状態が続くことになるので、時効援用の際に同時に通知しておくのが便利です。

以上が、時効援用通知の基本的な書き方です。

内容証明郵便の書式

時効援用通知は、通常、内容証明郵便によって送付します。

内容証明郵便には定まった書式があり、それに従わないと発送することができません。

そこで、以下に、内容証明郵便の書式をご説明します。

文字数について

内容証明郵便は、縦書きか横書きかによって、異なる文字数の決まりがあります。

縦書きの場合

下記のいずれかです。

  • 1行につき20字以内、1枚に26行まで
  • 1行につき13字以内、1枚に40行まで
  • 1行につき26字以内、1枚に29行まで

書いた文字を修正する場合は、2重線を引いてその横に吹き出しを入れて足す文字を記載し、押印をします。ただ、加筆によって上記の文字数を超えることはできません。

用紙について

特に制限はありませんが、内容証明専用の原稿用紙を購入して手書きで作成するか、A4の用紙を使ってパソコンなどを使って作成する方法が一般的です。

押印について

内容証明郵便を送付する際、差出人の押印が必要です。このとき利用する印鑑は、実印である必要はなく、多くのケースで認印が利用されています。

また、内容証明郵便が複数枚に及ぶケースでは、用紙のつなぎ目に印鑑を押す「契印(けいいん)」が必要です。ただ、時効援用通知書に長い文面は不要なので、通常は1ページで済むでしょう。

発送方法

内容証明郵便を送る場合には、まったく同じ内容の文書を3部用意する必要があります。そして、差出用の封筒には、文書内に記載した差出人および受取人と同じ住所・氏名を記載しなければなりません。

内容証明を取り扱っている郵便局の窓口に持っていって、料金を支払って発送してもらえば手続きが終わります。

このとき、訂正が発生する可能性があるので、その場で修正ができるように、内容証明郵便に押印したのと同じ印鑑を持っていきましょう。

料金

内容証明郵便にかかる基本的な料金は、以下の通りです。(2016年12月時点)

  • 郵便料金82円(定形25グラムまで。25グラムを超えて50グラムまでは92円、定形外の場合には50グラムまで120円)
  • 書留料金430円
  • 内容証明料金430円(文書が1枚の場合。2枚目以降は、1ページごとに260円加算)
  • 配達証明料金310円

合計すると、標準的には1,252円がかかります。

速達にすると、これに280円が加算されます。

以上のように、時効援用通知の書き方はそこまで難しいものではありません。内容証明郵便の書式にさえ気をつければ、自分で書いて発送することもできます。

ただ、不安な方や、確実に手続きしたい方は、弁護士に相談すると良いでしょう。

時効援用通知書を送るのは、時効期間が経過して、時効が完成していることが前提になります。時効が完成していないのに時効援用通知書を送ると、逆に自分が追い詰められてしまうこともあるため注意が必要です。(詳しくは「時効援用で失敗するケース」を参照)

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