先日、ある女性からこのような相談がありました。

(1)亡父の債権者から債権回収を受託したという弁護士事務所から、相続した債務の弁済を請求する催告書が到着した

(2)父は約9年前に亡くなっている

(3)相続人は母と兄2人

(4)母が父の財産関係を全て処理していて、父にこのような借金があったことは知らなかった

(5)現状、経済的に父の負債を支払うことはできないし、今後も父の借金が新たに発見するかもしれないので「相続放棄」をしたいと考えている

お話をお聞きし、要望にお応えしたいとは考えましたが、本件は相続の事実を知ってから9年もの期間が経過していますし、父の預金を相続人間で一部使用している事実もあったので、相続放棄はできませんでした。

かといって、高額な負債を弁済していくこともできないとのことでした。

そこで、母に連絡をとってもらって、消滅時効主張の可能性を検討しました。

聞き取りの結果、幸い、父死亡後に債務を弁済した事実も債権者から訴訟された事実もないということでした。

他の相続人の方からも債務整理を受任し、最終的には消滅時効の主張をすることで相続債務の弁済を免れることができました。

相続放棄ができなくなった場合でも、消滅時効を主張することによって、被相続人からの承継債務を消滅させることができることもあります。

このように、一つの方法が困難でも、皆様のご要望を実現するために、別の方法を検討しご提案していきますので、お気軽にご相談下さいませ。