「時効」という言葉を聞くと、刑事ドラマで見聞きする時効を思い付くと思いますが、あれは犯罪から一定期間経過すれば検察官が起訴できなくなるという「公訴時効」(刑事訴訟法第250条)のお話です。

現在、視聴率好調の木村拓哉主演の月9ドラマ「HERO」でも第1話がこの公訴時効についてのものでした。

ところで、民法にも時効の規定があります。

民法第162条の「取得時効」と第166条の「消滅時効」です。

今回は「消滅時効」についてのお話です。

当事務所にお客様から次のような相談を受けることが度々あります。

「延滞していた消費者金融から数年ぶりに請求を受けたけれど、お金も準備できないし、どうしたらいいですか?」と・・・

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法律上、債権者が権利を行使することができる時から10年間「請求」しなければ、その債権は時効によって消滅します。

ここでいう「請求」というのは「裁判上の請求」、つまり訴えの提起を指します。

そうすると、支払いを延滞した後、債権者から訴訟提起されておらず、10年間一切支払いもしていないのであれば、消滅時効が完成し、その支払い債務は消滅することになります。

なお、この10年という期間は、株式会社等が債権者の場合は、「5年」(商法第522条)となります。

また、医療費は「3年」、飲食店・飲み屋のツケは「1年」と更に短い期間で消滅時効が完成する債権もあります。

(※民法改正で短期の消滅時効期間について見直される動きがあります。)

結果、延滞されていた方の中には、法律上支払い義務を免れている方もおられるのです。

ただ、注意しなければならないのは、消滅時効期間が経過しただけで当然に債務が消滅するわけではなく、債権者に対し「時効の援用」という意思表示をする必要があるということです。

これについては次回に・・・