「他の相続人が放棄するので、自分に財産の名義変更をしてもらいたい。他の相続人の相続放棄手続きを行ってもらいたい。」というご相談、ご依頼を受けることがあります。

詳細をお聞きすると、他の相続人が財産を相談者だけが相続することに承諾しているので、その手続きをとりたいという内容です。

上記の場合、『相続放棄』ではなく、『相続持分の放棄』および『遺産分割協議』を行うことによって、ご要望を達成することができると判断しました。

「相続放棄」という手続きですが、誤解・混同されている方も少なからずおられるようなので、ここで説明したいと思います。

「相続放棄」の手続きをとると、亡くなられた方の「相続人ではなくなる」という効果が生じます。

そもそも相続人ではなくなるわけですから、相続財産の全てを承継できなくなります。

相続放棄をするためには、基本的には死亡の事実を知ってから3カ月以内に家庭裁判所への申述が必要となります。

通常、相続放棄がなされるのは、被相続人との関係を断ちたいとか、被相続人のプラスの財産よりもマイナスの負債の方が多く、借金を相続したくない場合に選択されることが多いです。

有名どころでは、第66代横綱若乃花(花田勝氏)が、父の相続について、相続放棄されたということがありました。

これに対して、「相続持分の放棄」というのは、相続人の地位を失うわけではないけれども、その相続財産は承継しませんという意思表示です。

相続財産を誰がどのような割合で承継するのか、という相続人全員の話し合いである「遺産分割協議」によって、それを実現することができます。

各種名義変更手続きに必要となりますから、この遺産分割協議が成立した場合は、通常「遺産分割協議書」を作成することになります。

なお、後日の紛争を回避するためにも、「遺産分割協議書」は専門家に作成してもらうことをお奨めします。

当事務所も不動産を含む相続財産に関する遺産分割協議書の作成およびご相談を承っています。

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